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レコメンド機能が視野を狭くする
最近スマホをはじめとするアプリの利用で、各所で使われるレコメンド機能を知ってますか?
自分の興味に近しい情報を提供してくれる「アレ」ですね。
Amazonの「この商品を買った人はこんな商品も買っています」とか、NetflixやSpotifyのおすすめ表示、TikTokやYouTubeにおけるコンテンツ消費などなど、私たちの意思決定の背後には、常にアルゴリズムによる「選別」が入り込んでいます。
ですが、この機能が最適化されすぎて、
「新しいものに出会うことが減ってきた」と感じることはありませんか?
今回はそんなレコメンド機能の便利さと弊害について、調べてみました。
「興味の最適化」の裏側にある機会損失
レコメンド(おすすめ)機能の根底にあるのは関連性の最適化です。
レコメンドのアルゴリズムは、ユーザーの過去の行動ログ(閲覧履歴、購入履歴、滞在時間など)を解析し、最もクリックされる確率が高い、あるいは最も購入に至る可能性が高い内容を提示するよう設計されています。
当然、このアルゴリズムがどんどん最適化されると、しまいには自分が興味のあるもの以外表示しなくなってしまいます。
あまりに好みが狭窄しちゃうのも考えものですよね。
とはいえ便利なのもまた事実。
幅広い分野で利用されているわけでありますが、
実際各分野は、どんなレコメンドアルゴリズムを利用しているでしょうか。
Eコマース分野

代表的なECサービスを展開しているAmazonは、先述した「この商品を買った人はこんな商品も買っています」(協調フィルタリング)を利用してレコメンド機能を実装しています。
セット提案を勝手にしてくれるので、関連商品は買いやすいのですが、この手法は過去のデータを学習してフィルタをかけるため、必然的にデータが少ないアイテムは表示されにくくなるんですね。
私もよく使いますが、そのアプリの仕様上、ウィンドウショッピング的に商品を見渡すことはありません。
そうすると、ニッチな商品はデータが蓄積されず、レコメンドに表示されにくいという悪循環にハマり、商品が売れなくなってしまう。
実際に協調フィルタリングにより、売上の多様性が減少することを実証した調査があります。
個人は知らなかった商品をおすすめされるから、未知の商品に出会う確率が高くなると感じるが、
全体で見ると、似通ったターゲットに同じ商品がおすすめされるため消費される商品種類は減ってしまう。
最適化によるパラドックスが起きてしまい、有用と思われつつも弊害が生じてしまいます。
Amazonも、センチメント分析やLLMの導入などでフィルタ機能の向上を図っているものの、ニッチな商品に対するレコメンドには、まだまだ課題が多いようです。
https://aws.amazon.com/jp/what-is/sentiment-analysis/
動画・音楽ストリーミング分野

Netflix
ユーザーがアプリを開いてから視聴コンテンツを決めるまでの時間はわずか90秒
これはNetflixが内部調査で検証した実証データなのですが、
https://dl.acm.org/doi/10.1145/2843948
Netflixでは、この90秒の壁を突破するために最適化された選択肢を提示することに注力した、おすすめ機能が設計されています。
ユーザーアカウントのデータに基づいて表示コンテンツが最適化されるので、リテンション(継続率)高くアプリを使ってもらえるのですが、
全く毛色の違うコンテンツを見たい。となった場合、それらが排除されてしまうリスクがあります。
そのほか、アプリを開くと見るたびに変わる動画のサムネイルも、ABテスト的に好みに合ったサムネイルを選定しているんだそう。
Spotify
精度の高いプレイリスト生成などが可能なSpotifyの機能ですが、こちらも好みが集約されることで、常に「好きな曲に似た曲」ばかりが流れ、嗜好が固定化してしまう可能性をはらんでいます。
そのほかDiscovery Mode ( https://artists.spotify.com/ja/discovery-mode )の導入によって、ユーザーが耳にする楽曲がさらに偏ることも示唆されています。
まとめ
ざっと書いてきましたが、レコメンドも労せず自分の興味に合ったものが手に入る。
という意味ではとても画期的な機能です。
有用だからこそ各所で使われているわけですしね。
しかし、分野を問わずこういった機能を使う上で、
自分の思考が偏っていないか思い直すことは重要です。
便利に流されず、しっかりと自分の意志で選び取っていけるようにしたいものですね。
ではでは。
©2023 D.I.D.
